IBNR備金は支払備金の一種で、既に発生した損害に対して積み立てる備金です。
IBNRとは既発生未報告(Incured But Not Reported)の略で、損害は発生しているがその報告が届いていないものです。
報告がないのにどのように金額を積み立てるのかというと、過去の支払額の統計データを使って積み立てます。
多くの契約を保有する損害保険会社の事故の発生件数や支払い額は大数の法則が働いているので毎年同じ傾向を示します。
ですから直近何年かのデータの平均をとったり、増減の傾向を調べたりすればある程度の予測がつきます。
事故が起きてから支払いが終了するまでが非常に長い介護保険や賠償責任保険などの場合は、
さらに多くの年数の過去データを統計処理して支払いパターンを作成し、将来の最終的な支払額を予測します。
普通備金が個々の事故の見積もりを行うのに対してIBNR備金は事故全体を統計処理して積み立てるので、個々の契約の金額は算出しません。
IBNRの算出方法にはチェインラダー法、ボーンヒュッター・ファーガソン法、ベンクテンダー法など多くの方法があり、
対象となる契約の性質によりこれらを組み合わせて使ったりもしますが、
保険計理人による決算確認では少なくともチェインラダー法による確認は行うこととされています。
各方法の実際の計算はアクチュアリーの教科書をご覧ください。