責任準備金とは保険会社が将来起きる事故の支払に備えて積み立てておく積立金です。 これに対して既に起きてしまった事故に対して積み立てるお金は支払備金といいます。
責任準備金には将来の保険事故に備える未経過保険料、積立保険で積み立てる払戻積立金、同じく積立保険の配当原資を積み立てる契約者配当準備金、 保険金支払額の変動に備える異常危険準備金などいくつも種類があり、基礎書類の1つである責任準備金算出方法書にその積み立て方が規定してあります。
将来に保険事故に備える未経過保険料は収入保険料と未経過期間(残存責任期間)の長さに応じて積みたてることが決まっていますが、 日本の損害保険会計ではこの未経過保険料に契約時に代理店に支払った代理店手数料部分も含まれているため、 この部分が重複した積立となり決算の負担が大きくなります。逆にいうと利益の出ている会社では節税になります。
生命保険や積立保険(損保)の責任準備金の積立方にはいろいろな考え方があり、利益の出ている会社では保守的な方法で大目に積みますが、 新設会社などで決算が苦しいと楽な方法で少なめに積む場合もあります。さきほどの代理店手数料などは保守的な方法の典型ですが、 この契約初期にかかる費用を責任準備金から除く方法もありチルメル式責任準備金と呼ばれます。チルメル(Zillmer)は これを考案したドイツのアクチュアリーの名前だそうです。 実際の保険金支払や必要経費、資産運用などの状況から判断して通常の責任準備金の積立では将来不足が生じると保険計理人が判断したときは、 追加責任準備金や不足責任準備金を積み立てます。