TURNTABLE
現在はほとんど使われることはありませんが、昔は音楽といえばレコードでした。
オーディオマニアはレコードプレーヤーのことをターンテーブルと呼びます。
私が使っているのはパイオニア製のPL-25Eというタイプです。
高級品のターンテーブルはダイレクトドライブといってモーターがターンテーブルそのものと直結されており、
水晶発振により正確な回転数を保ちますが、普及品ではベルトドライブといってゴムベルトでモーターと
ターンテーブルを繋ぎます。もちろん私のはベルトドライブです。
モーターはシンクロナスモーターといって交流(富士川以北では50Hz)に同期して回ります。
このターンテーブルが最近、レコードを聞くときブーンというノイズが入るようになりました。
この音は50Hzなので、こういう場合はたいていアース不良で電源ノイズを拾っていることが多く、アースを取り直すか、
電源プラグを逆向きに入れると直ることが多いのですが、今回はこの方法ではダメでした。
だとすると電源回路の異常が考えられますが、レコード意外ではノイズは出ないので電源は正常です。
試しにモーターを動かさずにターンテーブルを手で回す(ディスコでDJがやる方法です)と雑音は入りません。
ということは電気的雑音ではなく、物理的にモーターの振動音を拾っているとしか考えられません。
そこでモーターの振動がどうやって伝わるのか調べることにしました。
モーターからベルトをはずして空回りさせ、ターンテーブルの各部分に聴診器(医者が使うやつです)をあてて音を聞きます。
そうするとプレーヤーのどこに聴診器をあててもモーター音が聞こえます。
これはモーターが古くなってオイル切れを起こしているに違いありません。
大昔に買ったモーターオイルがありましたので、これをモーターに差してみます。
モーターの振動は格段に低くなりました。でもやはり針はモーター音を拾っています。
それにモーター音が左側だけから出てくるのが気になります。
このプレーヤーにはインサイドフォースキャンセラーといってレコードの中心に針が引き込まれる力を
打ち消す装置がついており、しかもこれが壊れているので針に横から余計な力をかけているかもしれません。
磁石の反発を利用してトーンアームを外側に引っ張っぱるようになっていますが、コントロール機構が壊れて
いるため、針圧をゼロにしてバランスをとるとアームは外側に向かって動いていきます。
ためしに針に横からレコードの中心に向かってすこし力をかけるとモーター音を拾わなくなります。
壊れたインサイドフォースキャンセラーがノイズの原因であることが判明しました。
しかしインサイドフォースキャンセラーはトーンアーム(ピックアップを支える腕)と一体になっており、
取り外すことはできません。
そこでインサイドフォースキャンセラーのコントロール機構の内部に爪楊枝を押し込んで働かないようにしてしまいました。
これで試してみるとノイズは出ません。かなり強引な方法ですがなんとか直ったようです。
修理中にはターンテーブルをひっくり返して裏板を取り外し、裏側から注油したりしていたのですが、
そのときは夢中で写真をとるのを忘れてしまい、修理完了後はもういちどバラす元気がなくターンテーブル内部の写真はありません。
レコード針はまだメーカーが作っていますが、最近はベルトドライブのベルトも入手が難しくなり、
いずれベルトも自作しなければならなくなるでしょう。
古くなって故障しても部品が入手できなくなり、その部分を自作したりすると愛着がわいてますます手放せなくなります。
この悪循環で古い機器が増えていき、新しいものを買うチャンスが訪れないのです。