リスク量とは
保険会社は保険金の支払額が経営上大きな問題となるので、これをリスクとして認識しています。
リスクの大きさはリスク量で表します。
集めた保険料から支払保険金を引いたものの残りが会社の事業費と利益になりますので、
これがうまく成り立つように保険料を定めます。
保険料のうち保険金の支払にあてる部分を純保険料、事業費等を含むものを営業保険料と呼びます。
純保険料は(事故の発生率×保険金支払額)で計算しますが、これは
保険会社が収入する純保険料の総額が支払保険金の総額に等しいことから
以下の式が成り立ちますが、(これを収支相当の法則といいます)
保険契約の数×純保険料(収入純保険料の総額)
=保険契約の数×事故の発生確率×保険金支払額(支払保険金の総額)
この式を変形すると
純保険料=事故の発生額×保険金支払額
となるからです。
この純保険料に事業費を加えたものが営業保険料となります。
保険会社は収入した保険料から保険金を支払いますが、このために保険の残存保険期間に応じて責任準備金を積み立てます。1件の保険契約から支払われる保険金の額は予測できませんが、保険会社は多数の契約を集めますので、保険金の支払い額は過去の支払いの平均値から求めることができます。つまり過去と同じ状態が続けば、将来も同じ保険金の支払いが起きるだろうということです。これを支払いの期待値といいます。
しかし、毎年同じ支払い額となるわけではなく支払いの多い年もあれば少ない年も出てきます。この期待値からのブレが保険会社にとってリスクとなるわけです。
リスク量は保険金支払額の変動値ですので、保険金支払の確率分布がわかれば計算できますが、このときどのくらいの正確さ(信頼度といいます)でリスク量を計算するかが問題となります。たとえば10回に1回くらいは予測がはずれてもいいと思う場合は信頼度90%でリスク量を計算しますが、100回のうち99回は当たってほしい、逆にいえばはずれるのは100回のうち1回くらいにしたい場合は信頼度99%を使います。
リスク量はVar(バリューアットリスクといいます)で表しますが、例えばある保険で保険金の支払いリスクについて信頼度99%でVarが100億といったら、100億円以上の事故が起きることが100年に1回程度あるという意味になります。