デリバティブ

 デリバティブは日本語では金融派生商品といい、ある指標(株価、金利など)に基づき価格が変動する債券である。 保険デリバティブでは保険事故に相当する事象が発生した場合に償還金額が減少するような債券を金融市場で販売する。

 保険デイバティブは保険事故が発生しない場合は市場金利よりも高い金利で償還される。 通常の金融商品ならばその価格は金融市場の相場に左右されるが、保険デリバティブの価格は保険事故のみに影響され金融市場の動きとは独立なため、 ポートフォリオを組むときの危険分散には有効で人気がある。 JA全共連が発売した地震デリバティブであるMUTEKIは東日本大震災による保険金支払いでデフォルトして無価値になったが、 その翌年に発売されたKIBOUも完売した。

 通常、デリバティブを引き受けた保険会社は特別目的会社(SPC)を設立して資産を移し、SPCが債券を発行して金融市場で売却する。 保険事故が発生すると債券の償還が減りSPCに利益が発生してそれが保険金として保険会社をとおして支払われる。 デリバティブは保険会社が直接顧客に販売することもあるが、この場合金融商品であるためその運営には高度な金融知識が必要である。 保険と違い保険金支払いに損害調査は必要ないので、一歩まちがうとギャンブルになってしまう。 このためデリバティブを扱う場合に認可ではないが事実上金融庁の承認が必要となっている。

 近年はデリバティブでなくてもある一定の災害(地震や風水害など)が発生すると、損害調査なしで保険金を支払う パラメータ保険が販売されていて、保険とデリバティブとの境界があいまいになってきている。 保険法により損害保険は損害をてん補する契約と定められており、このため損害額を確定する損害調査が必須であったが、 パラメータ保険などが出てくるとこの解釈も徐々に変更されていくと思われる。