リスクマージン

 大きな事故の出現に備えて保険会社は資本を充実しなければなりませんが、 そのための資本調達コストはそのリスクを引受けるための費用となり、保険料に含まれます。 この部分は引受のための費用ですから当然付加保険料となります。

 巨大災害に備えて保険会社の積み立てる異常危険準備金は責任準備金という負債ですが、 負債とはいっても性格的には資本に近く付加保険料の中から積み立てています。

 まぎらわしいのは、巨大災害の支払いファンドも純保険料の中に含まれており、一見すると重複して積み立てているように見えることです。

 じつは異常危険準備金として積み立てる部分の金額は巨大災害の損害額そのものではなく、 支払いに際して一時的に必要になる当座の資金なのです。 ここで使用した資金はその後収入する純保険料で少しづつ穴埋めされていき、 最終的には純保険料ですべて支払われることになります。

 欧州の保険会社は特に異常危険ということではなく保険金の支払を平準化するという意味で平衡準備金という積立金を積みますが、 日本の異常危険準備金の性質は平衡準備金に近いものです。 米国では異常危険準備金や平衡準備金の積み立てはおこなわず、すべて資本で対応します。

 現在、導入が進められている国際会計基準でも異常危険準備金や平衡準備金は認められず、すべて資本で対応することになります。 この保険金の変動に対応する資本をリスクマージンと呼んでいます。