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2021

リノベーションでの失敗や注意点


1.目的と業者選び

 リフォームが成功するか否かは目的と業者選びで90%以上決まってしまうと思います。なんのためにリフォームをするのか 、どこにお金をかけてどこで節約するのかはっきりしておかないと結果に満足できません。 リフォームして高く売るためか、老後に暮らしやすくするためか、仕事のためか趣味のためか、あるいは贅沢な気分を味わいたいのかで 間取りも使う材料も違ってくるのでそれに伴いかかる費用も違ってきます。

 次にその目的を達成してくれる業者を選ぶ必要があります。 最低限の費用でやりたいなら一番安い業者を選ぶだろうし、金に糸目をつけないならブランドの業者を選ぶでしょう。 いずれにしても信用できる業者を選ばないと後々後悔すると思います。業者だけでなく担当者を選ぶことも必要だと思います。 同じ会社でも担当者が違うだけで対応が全く異なることもありました。

 大手デベロッパーならある程度人材が揃っているので安心かと思うかもしれませんが、 優秀な営業マンは多くの顧客を抱えているのでVIPにでもならない限り真剣に相手をしてもらえない 可能性もあります。私の場合も有名なデベロッパーの営業マンで斬新な提案を持ってきたり 頻繁にショールームの案内を持ってきたするのですが、こちらの用事で連絡しても直接リフォームに関係のない案件だと 返事をしてこない人がいました。この人に頼んだらもし後で不具合があったときに連絡しても無視されるかもしれないと思いました。 とにかく連絡したらすぐに返事をくれることは信頼の第一歩だと思います。 一方的な売り込みではなく、こちらの希望を理解したうえで、それに合う実現可能な提案ができる技術力を持った人を 探すべきだと思います。

2.管理組合対応

 マンションの場合、管理組合の規定が細かく定められている場合があり、リフォームでも大きな変更は認めていない場合があります。 管理組合は立ち入り検査の権限があり他のマンションでは規約違反でやり直しを命じられたケースもあるそうです。 私の場合もかなり細かく規定があり審査に時間がかかったのですが、担当している理事はその筋の専門家で、要求は 厳しいですが、安全性を満たしていれば住民の要求にも柔軟に対応してくれる人だったので、希望どうりのリノベーションができました。 この場合、理事の要求をリフォーム仕様に取り入れる必要があるのでリフォーム業者の技術力も関係してきます。

 特に水回り関係の変更を伴う場合、担当理事が頭の硬い頑固な人だったら、規約を硬直的に解釈して一切水回りの変更は 認めないというケースもあり得ます。また一時的に転居するような場合だと管理組合の届け出は十分に時間をとっておかないと 私の場合も提出のタイミングが悪くて転居先を借りる期間が1ヶ月伸びてしまいました。

3.転居先の確保

 大掛かりなリノベーションの場合は一時的に転居する必要がありますが、転居先探しに一苦労します。 まず民間借家などの場合は短期間といえども敷金、礼金などを支払う必要があり、これが馬鹿になりません。 この点URなどは敷金があっても普通に使えばほぼ返ってきますし、なにより公的機関なので安心できます。 ただしURの賃貸住宅は保証人がいらないので外国人と老人の割合が多く、普通のマンションとは雰囲気が異なります。 私の場合は団地内のスーパーに珍しいエスニック料理用の食材があったりして結構おもしろかったです。

4.近所への挨拶まわり

 リフォーム工事は騒音が出たり機材の搬入でエレベータを使ったりと他の住民に迷惑がかかることが多く、 マンションによっては上下左右の住民の承認をとる必要があり、ここで日頃の人間関係を良くしておかないと承諾してくれない場合があります。 幸い私の場合は管理規約上近所の承諾は必要なく、またあったとしても上下左右との関係も良好だったので、 何の問題もありませんでした。 ただし近所でない住民でも噂好きな人がいろいろ噂を流したり集めたりすることはあるみたいですが、 正規の手続きを踏んでやるのであれば何も気にする必要はないと思います。

5.水回りの設計

 管理組合への届け出で一番問題になりそうなのがこれで、無理な変更は階下への水漏れの危険があります。 マンションの上下水道は上下の階とつながっているため、宅内はなるべく短い距離で曲がる回数を減らしたほうが 将来のトラブルを回避できます。部屋のレイアウト上無理をして何回も曲げたりすると詰まりやすくなります。 マンションでは定期的に下水管の洗浄作業があり、大手会社の設計でこれなら大丈夫と言われた配管でも実際に 洗浄している業者に聞いてみるとこれでは洗浄パイプが届かないといわれるケースもありましたし、 大手デベロッパーで営業は大丈夫といっても現場の技術者がこれはぎりぎりの設計だということもありました。 同じ会社なのでダメとは言えなかったようですが技術的にはダメと顔に書いてありました。

 私のケースでは管理組合の担当理事は専門家だったので配管の長さや位置・勾配などすべてをチェックして最終的に は水回り変更もOKしてくれました。逆にリノベーションなら配管を変更できるので、床暖房の系統を増設したり、 バルコニーに給水・給湯できる蛇口を新設したりと通常できない変更が行えました。また浴室を変更したことで その後に床収納を作ったりもできました。

6.電気の配線、コンセント等の位置

 実際に家具を置く位置を考えて設計しないと、コンセントが家具で塞がれたり、電気器具を使う位置から 離れてしまうケースもありました。また1箇所のコンセントに差し込み口の数が十分でないと、アダプターを 使ってタコ足配線になってしまうこともあります。ただし2口コンセントを3口にするのは後からでも可能でした。

 リフォームでは壁の中の配線も変えられるのでFM放送用のアンテナ線を新設したり、インターネットの配線を高速なものに 変更したりといったことができます。また配電盤を変更してブレーカーの数を増やし、バルコニー専用など 用途別にスイッチを変更することもできました。現在は使わなくても将来オール電化するかもしれず、IHクッキング 専用コンセントの増設なども壁を作り直すリフォームのときにやっておけば安心です。

 壁掛け式の大型テレビやコンピュータディスプレイはスタンドがないので見た目がすっきりしますが、 重量があるため住宅の通常の壁では補強工事が必要だったりして簡単には取り付けられません。 しかしリフォームのときならあらかじめその部分の壁を補強しておいてもらえるので、比較的簡単に取り付けられます。

7.設置する器具や使う材料の選択

 リフォームではシステムキッチンに組み込む機材、洗面台、浴槽などは自分の好みのものが使えますが、 同じ物でも入手経路により値引き幅が大幅に違うことがあります。私の使った業者は自分のところの値引き幅より 安く仕入れられるものはそちらを使ってくれましたし、システムキッチンに組み込むガスレンジや電子レンジ等も こちらが安く入手したものを取り付けてくれました。玄関の床の石も気に入ったものがないので、こちらが別の業者 から仕入れたものを使って仕上げてくれましたし、洗面台は以前のものが特注だったので探しても気に入ったもの が見つからず前のものを取り外してまた付け直してくれました。とにかく柔軟に対応してくれる業者を選ぶこと が重要だと思います。

8.無駄なスペースの活用

マンションの場合、部屋の配置はある程度統一されていることが多く、その場合部屋によっては間取りを同じにするために 無駄なスペースができている場合があります。たとえば配管スペースは下に行くほど多く必要なのですが上層階では その部分は配管がないので単なる空きスペースになっているか、必要以上に大きなスペースがとってあるケースがあります。 このような場合にはリフォームによりこのスペースを使って部屋を広くできますし、天井裏や床下に使わないスペースがある 場合は収納庫とすることもできます。

9.図面と実際の相違

 素人が図面を見て実際の部屋を想像するのは困難です。私の場合も実際にできてみるとトイレが思ったより 狭かったり、キッチンが思ったより暗かったりしたので、リフォーム業者に無理をいってやり直してもらいました。 そのあたりを柔軟に対応してくれる業者でないと一旦図面を決めたらそのとおりにしかやらない業者だと 後々後悔します。大手業者は施工現場の人に変更権限がなく常に本社の許可を得る必要がありますが、 私の頼んだ業者は同じ1級建築士が設計も現場管理もやっていたので、変更もその場で決めてくれました。 施工後の状態を事前にCG(コンピュータグラフィック)で見せて確認してから着工する業者もあるようです。

10.出来上がった後の問題

 引き渡しを受けた後でも、いろいろ問題が出てきます。時間が経つと木材の伸び縮みがあり壁紙に皺や切れ目が 生じたり、継ぎ目に隙間ができたりすることがあります。私の場合湿度の高い夏に施工したせいか、冬になると 壁紙に皺や隙間が生じました。契約により保証期間が決められているので、引き渡し後も慎重にチェックしていくこと が必要です。