HONDA EX300 HONDA EX300 GEN0
 車の場合、カーナビなどはたいていディーラーの修理工場などで取り付けてもらえ、故障した場合でもディーラーに任せてしまうことが多いですが、 船の場合はマリーナや造船所に持って行ったり、陸揚げすること自体が大変なので、 魚群探知機やらGPSやらポンプやらといろいろな設備を後から取り付ける場合はたいてい水上で行ってしまいます。

 またこれらが故障した場合の修理も水上で行うことが多いので水上でドリルやら電動カッターやら半田ゴテなどの電動工具などを使う機会が多く、 船にはこれらの工具を動かすために発電機を積んでいることが多いのです。

船を購入したのは平成2年で現在のエンジンは3台目ですが発電機は初代のまま現役で動いています。 たまに調子が悪くなったり動かなくなったりしますが、長い付き合いなのでそれなりに治すことができます。 最初に動かなくなったのは買って7~8年目で、すでに当該機種は製造中止になっておりました。 HONDAに送って見積もりしてもらったらキャブレター交換で修理費用は2万円、今回直してもそろそろ寿命で別のところが壊れるかもしれないから、 新品に買い換えたほうがいいといわれました。 でもこの発電機は小型軽量(8.5Kg)で現在売られているものは重量が1.5倍以上あるので、 できるならこの発電機を使いたいのです。どうせ捨てるならダメモトで直してみようと思い、とりあえず分解してみました。

 単純な2サイクルエンジンなのですが、こちらは素人なので分解にはやたら手間がかかりました。 やっとキャブレターにたどりついてメインジェットをよばれる燃料を噴射する部分をとりはずすと真っ黒に詰まっています。 本来ならキャブクリーナーに漬けて圧縮空気で詰まりを吹き飛ばすのですが、 なんの設備もないので針でつついて詰まりを除きました(本来これはやってはいけないそうです)。 見様見まねで元どおり組みなおしたらなんとか動くようになりました。知識ゼロで分解してしまったので 試行錯誤を繰り返して組みあがるまでに一週間くらいかかってしまいました。 でもHONDAに修理に出したら詰まっただけのキャブレターを交換されるところでしたので結果オーライです。

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 これに懲りて、これ以後は燃料にキャブクリーナーを混ぜて使うようになり、その後10年間は順調に動いたのですが、 また動かなくなり、この時も分解して掃除しましたが、キャブクリーナーのおかげでキャブレターはきれいでした。 その代わりに燃料パイプが詰まっており、これを掃除して再び動くようになりました。
 3度目の症状は複雑でした。負荷をかけなければ正常に動くのですが、負荷をかけたとたんに回転が落ちてしまうのです。 キャブレターを分解してもきれいだし、電子回路の故障を疑ってみましたが、どこを調べてもそれらしいものがありません。 発電機なのでインバーター回路があるのですが、それが回転数を制御しているとも思えません。
 もう、放り出して新しいのを買おうかと思ったときに、ネットでマフラー系統のつまりという項目がヒットしました。 燃料の吸入系ばかり調べていたので排気系統はノーチェックだったのです。 それに吸入系のトラブルはすぐにエンストにつながりますが、排気系がそんなに問題になるとも思っていませんでした。 ものは試しでマフラー(消音器)を分解してみたら真っ黒にスラッジ(排気に含まれるスス)が詰まっていて、本来なら2Cmくらいの穴が3mmくらいに 塞がっていました。これを取り除くとウソのように回転が上がりました。

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キャブレターの清掃にも慣れたし、マフラー分解も経験したので、この発電機とは一生付き合えそうに思えてきました。 特にボートのエンジンを4サイクルに交換してからは海で使った後は毎回冷却系統の清掃用ポンプを使うので発電機の出番が増えました。

2サイクルエンジン使用上の注意点

30年近く同じ2サイクルエンジン(発電機)を使っていますが、2サイクルの特徴はとにかく使わないと動かなくなるということです。 また長年使っていると始動が悪くなります。このときキャブレターを分解してみると固形物が詰まっています。 エンジンを停止したときにはキャブレターの細い穴の中に燃料が残っており、時間がたつとガソリンは蒸発してしまいますが、 ガソリンに含まれている種々の不純物等が残ってしまうのだろうと思います。 これを防ぐにはキャブクリーナーやガスクリーナー(*注)を燃料に混ぜておくことです。これらが燃料の通路をきれいにしてくれます。 また、効果があるのはエンジンを停止するしばらく前に燃料コックを閉めてしまうことです。 これは想像ですが、燃料コックを閉めると燃料タンクに空気が入らなくなるのでキャブレターが燃料を吸出しにくくなり、 エンジン停止とともに燃料がキャブレターからタンクに吸い戻されてしまうからだと思います。 これらを行うようになってからはエンジンが動かなくなることはなくなりました。

*注:ガスクリーナーは二輪車用と車用に分かれていますが、車用のほうが安いのでこちらを使っています。
車用は二輪車には使えないと書いてありますが、これは二輪車のエンジンにはギアやクラッチが組み込 まれて同じ潤滑油が使われるため、そのための成分があるからで発電機ならギアもクラッチもないので 車用でも大丈夫です。