CRAFTSMAN 100 SOLDERING-GUN

電気の配線を接続したり金属を接合するのにはよくハンダが使われます。
ハンダは錫と鉛の合金でハンダゴテで熱して溶かし接合します。
下の写真は電子回路用の15Wのハンダゴテと少し大きい30Wのハンダゴテです。
ハンダゴテ

ハンダゴテは英語でSOLDERING IRONといいますが、 下の写真はハンダゴテの一種でソルダリングガン(SOLDERING GUN)というものです。
通常のハンダゴテとは形が違いますが、発熱の仕組みも全く違います。
ハンダゴテは電気ポットと同じで電熱線で発熱しコテ先に熱を伝えますが、 ソルダリングガンはIHヒーターと同じでコテ先のチップに直接大電流が流れて発熱するため、 ハンダゴテのような加熱の待ち時間はありません。
出力も桁違いで写真のソルダリングガンの出力は140Wです。
SEALING

分解してみると内部に大きなトランス(変圧器)があります。
出力140Wということはトランスの入力電圧は交流100Vなので140÷100で入力電流は1.4Aのはずです。
出力電流を測定しようとしたら電流計の測定限界(100A)を越える大電流で、数値はわかりません。
またチップをはずしてテスターでチップの抵抗値を測定すると0.01オーム以下でこれも測定不可能でした。
そこでチップをはずした状態での本体の開放出力電圧を測定すると0.305Vでした。
出力電圧(0.305V)×出力電流=出力電力(140W)ですから、出力電流=140÷0.305=459Aとなるはずです。
このときの出力抵抗は出力電圧(0.305V)÷出力電流(459)=0.000664オームでやはりテスターの測定限界以下でした。
ソルダリングガンは約460Aという大電流で動作していることになります。
DSCN2568

下の写真はこのソルダリングガンの箱で相当古いことがわかりますが、1968年にアメリカのお土産でもらったものです。
もちろんこの頃日本にはまだソルダリングガンはありませんでしたし、それ以後も見たことがありません。
しかしアメリカでは普通に売られているようです。
CASE

今まで便利に使っていたのですが、とうとうチップが割れてしまいました。
かなりの年代物で、そもそも日本では売られていないのでチップは入手できそうにありません。
BROKEN2

金属が割れたときは通常ならハンダで接合しますが、そもそもがハンダを溶かすための機械ですからハンダを使うわけにはいきません。
そこで考えたのがロウ付けです。ロウ付けはハンダよりはかなり難易度が高いのですがこれを使うしかなさそうです。
ハンダなら200度くらいで溶けるのですが、銅のロウ付けは750度が必要で、ガスバーナーを使います。
TORCH

ロウ付けは片手にバーナー、もう一方の手にはロウ付け用金属棒を持つので目的のチップを固定しておく必要があります。
BRAZING

接合完了です。よくできました。
REPAIRED

本体に取り付けたところです
REPAIRED2

テスト完了
DSCN2570